刑事弁護の都庁前法律事務所TOP > 逮捕弁護士「逮捕に関する基礎知識」
1 逮捕された後の流れ
一般的なケースとして、警察に逮捕された場合を取り上げます。弁護士が弁護活動をする一般的なケースも、警察に逮捕された場合です。逮捕された後は一般的に、警察署の中にある留置場で22日ほど身柄拘束を受け、その間に検察官が被疑者を起訴するかどうか決めることになります。弁護士による弁護活動はその間も、検察官と折衝をしたり、被害者と示談をしたり、被疑者にとって有利な証拠を収集したりと弁護士の弁護活動は様々です。一般的には逮捕されて2日目に検察庁に、3日目に裁判所にそれぞれ連れて行かれ、その後多くの場合は20日間も身柄拘束がされます。最初の勾留10日間は勾留請求の日を含めて計算。合計すると逮捕から22日間の身体拘束になることが多く、勾留期間の最終日が休日の場合は休日前までになるのが通例です。お仕事をお持ちの方は失職のリスクも抱えることになるので、逮捕された後、弁護士に依頼し早期に身柄解放活動を開始することが重要です。
逮捕した後に警察は被疑者を取り調べて簡単な調書を作成。被疑者は逮捕後48時間以内に連れて行かれた検察庁で再度、短時問の取り調べをされ、検察官が簡単な調書を作成。検察官が24時間以内に裁判所に勾留請求をするとさらに裁判所に連れて行かれ、勾留質問があります。裁判官から言い分を簡単に聞かれ、10日間の勾留が認められると勾留状が発付。10日間で足りないと検察官が判断すると、勾留延長の請求をします。検察官の勾留請求や勾留延長請求が認められないことは、統計的にまれです。逮捕されますと長い間身柄を拘束されますので、長期間の身体拘束を回避するために、弁護士は逮捕に続く勾留請求に対して意見書などを提出して勾留や勾留延長がされないように弁護活動を行います。
逮捕後の22日間の途中で検察官が身柄拘束の必要がないと考えれば釈放ですが、実務上はほとんどありませんので、身柄解放に向けた弁護士の弁護活動が重要な意味を持ちます。
不起訴の場合は不起訴決定日の夜に釈放されるのが一般的です。
罰金の場合は、最後の検察官調べで略式手続にする同意を求められ、勾留の満期日に裁判所に連れて行かれて、罰金の命令を受けて罰金を支払って釈放。
検察官が公判請求した場合は、逮捕後の身体拘束に続いて、そのまま起訴後も身柄拘束が続くことになります。釈放されるためには保釈の手続きを取る必要があります。
逮捕後の流れはあっという間に過ぎてしまいます。しかしその期間の弁護士による活動は重要なものですので、弁護士に相談して逮捕に対する防御活動についての適切なアドバイスを受けてください。
2 逮捕後に家族や弁護士に連絡することは可能ですか?
逮捕された段階で、弁護士を選任することができる旨が告知されます。逮捕直後の段階では手続き面で分からないことがあると、不安感からやってもいないことを認めてしまう被疑者がいますので、弁護士を選任することができる旨の説明を受けるだけではなく、実際に弁護士から法的アドバイスを受ける必要があります。
逮捕された人は警察の留置場に収容されるときに所持品の検査をされ、所持品のほとんどを預けさせられます。携帯電話も取りあげられるので、もちろん逮捕後は電話ができなくなります。逮捕後の携帯電話は電源が切られるので、相手からかけても発信音が鳴りません。通信履歴や電話番号のメモリーは逮捕された方と共犯者や関係者との関係についての重要な証拠として扱われます。写メールの中身も余罪の有無との関連で調べられます。例えば痴漢事件で逮捕された被疑者は携帯電話の中に入っている写メールもチェックされます。警察は逮捕後、逮捕された人に、連絡をしたい家族や知人を聞き、その相手に電話で逮捕されたことを通知。連絡したい弁護士がいれば、逮捕直後に弁護士に連絡をしてもらうことが可能です。
3 逮捕中や勾留中に家族と面会することはできますか?
共犯者がいるときはよくあることですが、逮捕に続く勾留決定のときに弁護士以外の者との面会を禁止する接見禁止の決定が付くことがあります。接見禁止がつくと勾留期間になったとしても家族・知人が面会や差し入れをすることができません。しかしそういった場合でも弁護士であれば接見が可能です。なお接見禁止の決定がある場合でも、裁判所に接見禁止の一部解除の申立てをすると、面会できることがあります。選任している弁護士に聞いてみるといいでしょう。
逮捕中でまだ勾留段階になっていない段階は弁護士以外との接見はできません。ただし逮捕後の勾留期間中に面会ができるといっても、弁護士以外は平日9時から5時までしか面会できません。5時近くに行くと、会えないこともあります。弁護士以外の方は、取調中や検察庁などに行っている日は会えません。勾留されている警察署の留置課に電話して予定を確認してから行ったほうが無難です。
差し入れは、衣服は腰の部分に入っているひも類がすべて外されますので、ゴムが入っているジャージがありがたいようです。接見禁止でなければ手紙も送ったり差し入れが可能です。ただし、警察が内容を読んでチェックします。日用品は中で買えるので、少額のお金を差し入れると被疑者にとって便利なようです。取り調べがない日が続くと退屈に感じるようですので、本や雑誌の差し入れを希望する被疑者は多くいます。逮捕や勾留をされている被疑者は弁護士との接見で明るい表情を見せますが、逮捕されて不安な状態にある中で弁護士から法的アドバイスを受けた安ど感からなのでしょうか。
4 任意同行と逮捕
捜査機関が捜査のために被疑者や参考人に任意で同行や出頭を求めることがあります。任意出頭で呼び出された者は、出頭に応じないことも出来ますが、嫌々ながらも同行に応じた場合には同意があったものと見なされます。弁護士がいない状況で要請される任意同行に対しては、断れば逮捕されるのではないかという不安もあり、なかなか一般の方は断りにくいとでしょう。
しかし同意がないのに無理やり連行されれば任意性が失われて強制力を用いた「逮捕」となり、令状がない以上は原則として違法逮捕です。
そこで、任意と強制の限界、任意同行と逮捕との線引きが問題になります。弁護士の役割として、このように逮捕の違法性をチェックすることも弁護士の弁護活動として重要です。
任意同行の限界
任意同行とはいえ相手が拒否した場合でも、肩に手をそえ、乗っている自転車のハンドルや荷台に手をかけるなど、強制にわたらない程度の実力を用いることが許されています。
この強制にわたらないという場合に当たるかですが、客観的な状況によって認定されます。同行を求める方法や連行の態様など、個々の行為について見るならば必ずしも強制力を行使したと認められないにもかかわらず、他の状況との関係で心理的な強制力が及んだとみなされるならば、それは逮捕と同視されて、違法逮捕となることもあります。
任意性の確保
刑事が同行を求める際には、同行が任意でなされたものであるという任意性を保全しようとします。つまり、被疑者の任意性に関して、あとで疑いを抱かれることのないようにするということです。同行を求める時刻が深夜や早朝など、通常ならば就寝中の時間帯であったり、同行した被疑者が寝込みを襲われたと訴える可能性があるパジャマ姿であったり、服を着替えることすら許されずに連行されたと主張されうる半裸・裸足姿であったりする場合は、任意性に疑問が残ります。被疑者の任意同行に際しては、通常、被疑者1名につき警察官は1名か2名とするのが適当です。3名以上の警察官がたった1名の被疑者を取り囲むようにしてパトカーに押し込んだ場合なども、任意性が疑われます。
5 逮捕の種類
逮捕の種類はは以下の計3種類です。
- 検察官または警察官の請求によって裁判官から発付された逮捕状によって逮捕する通常逮捕
- 一定の重罪を犯した疑いが極めて濃厚で、急を要するため犯人を逮捕した後直ちに裁判官に逮捕状を請求する緊急逮捕
- 犯人であることが明白である場合に逮捕状なしに逮捕する現行犯逮捕
緊急逮捕や現行犯逮捕の適法性のチェックは弁護士として特に注意が必要です。
6 通常逮捕
警察官が被疑者を逮捕したときは、警察に留置して48時間、継続的に身体の拘束を続けることが可能です。逮捕に続く制限時間内に検察官に送致しなかった場合は、直ちに被疑者を釈放しなければなりません。検察官が逮捕したときは48時間を限度として、警察間から逮捕された被疑者を受け取ったときは24時間を限度として、それぞれの制限時限内に裁判官に勾留請求をするか公訴提起をしなければなりません。いずれも行わない場合は、直ちに釈放することに。
逮捕状請求の要件は第1に、逮捕の理由があることです。刑事訴訟法の「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」ですが、どのような法規に抵触する行為であるのか、犯行の日時・場所・方法・被疑者・被害者などが特定されているかの2点が明確になっている必要があります。逮捕のための「疑うに足りる相当な理由」は単なる嫌疑ではなく、客観的・合理的な根拠に基づいた嫌疑である必要があります。逮捕の理由があるかどうかは弁護士がチェックします。
逮捕状請求の第2の要件は、逮捕の必要性です。逮捕状の請求に際しては、逃亡・罪証消滅のおそれなど、逮捕の必要性の有無を十分に検討・判断して、疎明資料において説明。判断の基準としては、被疑者が住所不定・逃走中である、被疑者について前科・前歴・暴力団構成員であることなどが疎明できる、犯罪の態様として共犯者がいる・規模が大きい・方法が複雑・常習者による犯行であるなどの場合は、逮捕の必要性が認められやすくなります。他方で被疑者が高齢・年少である場合は身柄拘束による影響や少年福祉上の配慮により、事案が特に悪質・重大でないかぎり逮捕の必要性が減殺。病気中の被疑者、扶助を要する老幼者を抱えている被疑者、示談が成立している場合、白首している場合なども逮捕の必要性が減殺。逮捕の必要性があるかどうかは弁護士がチェックします。
7 逮捕状
捜査機関の請求で裁判官が逮捕を許可する場合の許可状が逮捕状です。逮捕状には通常逮捕と緊急逮捕の2種類があり、いずれも被疑者の氏名・住居・罪名・被疑事実・引致すべき場所・有効期間・発布年月日などを記載、被疑事実に関しては、別件逮捕になっていないかどうかを捜査状況と照らし合わせ、弁護士が逮捕の適法性をチェックします。特に別件捜索差し押さえの問題があるので、別件逮捕の問題とあわせて弁護士が適法性をチェックすべきです。
逮捕状の請求が出来る者は、検察官と警部以上の階級にある司法警察職員ですが、緊急逮捕の場合に限っては、緊急に発布する必要性から司法巡査でも請求可能です。
逮捕状の請求書作成に当たっては以下の事項を記載すべきです。
裁判官が発付する逮捕状の有効期間は他の令状と同様に原則として7日間(初日不参入で発布当日を含めて8日間)です。被疑者が逃亡中で、7日間以内の逮捕が不可能な場合は、7日を超える有効期間を請求することも可能です。
逮捕状の再請求は、原則としてその有効期間の経過後に、一応返還して新たな逮捕状の発付を受けることになっていますが、捜査上に支障の来すおそれのある場合は、有効期間内でも更新手続がみとめられています。
逮捕状は、逮捕時に被疑者によって破棄された場合や、逮捕後に不始未によって紛失した場合でも、再請求の必要はありません。
逮捕状によって被疑者を逮捕する場合には、逮捕状を被疑者に示す必要があります。逮捕状の呈示は身体の拘束に着手する前に行うことが原則ですが、逮捕を察知した被疑者が逃走を図り、第三者の妨害が介入したりなどして時間的余裕がない場合や、被疑者が逮捕状を破棄するおそれなどが予想されるときには、身体を拘束してから逮捕状を呈示しても適法です。逮捕前後の密着したタイミングで呈示がされれば適法です。
発布されている逮捕状を所持していない場合で逮捕することも、逮捕状の緊急執行として適法です。逮捕状の緊急執行として適法となるためには、被疑者に対して被疑事実の要旨と逮捕状が既に発付されている旨を告げなければなりません。
被疑者が逮捕状の内容について、筆写やコピーを求めても応ずる義務はありません。
逮捕状は被疑者を逮捕するためのもので、逮捕と同時に目的は果されるので、逮捕後に被疑者が逃走した場合は、逮捕後48時間以内でもすでに逮捕状の効力は失われており、同一の逮捕状で再逮捕することは不可能です。逮捕状によって逮捕に着手したが、逮捕が完了しておらず完全な拘束状態(実力支配内)に入らない間に被疑者が逃走した場合には、逮捕状はまだ有効で同一逮捕状で逮捕することが可能です。
同一の犯罪事実について、再び逮捕する必要が生じた合理的な特別の事情がある場合は、逮捕が不当な蒸し返しで違法逮捕により時間を稼ぐおそれがない限り、再度請求して逮捕状の発付を受けることも可能です。たとえば嫌疑不十分で釈放したが、新たな有力証拠が発見された場合などです。再逮捕の際の特別の事情については本当にあるかどうかを弁護士として特にチェックします。
8 現行犯逮捕
現行犯逮捕の現行犯とは現に罪を行い、または現に罪を行い終った者のことです。現行犯ではないものの、罪を行い終ってから間がないと明らかにみとめられる者についても、準現行犯として現行犯とみなします。結果的に現行犯逮捕が可能です。現行犯は犯人であることが明白でなければならないので、当然、犯行後の時間的接着性が明らかでなければなりません。現に罪を行いつつある犯人ならば、逮捕者の目の前で犯罪が行われているので問題はありませんが、現に罪を行い終った犯人の場合、現行犯人と認められる時間的範囲は最大限30分から40分で、準現行犯で最大限数時間以内です。現行犯逮捕の適法性の有無は弁護士として特に注意したいところです。
現行犯は犯人であることが明白で人権侵害や誤認逮捕のおそれが少ないので、現行犯逮捕をするにあたって逮捕状は無くても構いませんし、警察官はもちろん一般人でも逮捕することが認められています。令状がなくても逮捕ができ、私人でも逮捕ができるからこそ、現行犯逮捕の適法性の有無は弁護士として特に注意したいところです。
現行犯と判定する基準としては、逮捕時における、犯行後の経過時問と犯行場所からの距離的関係のほか、逮捕する犯人の外見的明白性もまた不可欠です。ここも現行犯逮捕の適法性で弁護士が特にチェックをしたいところです。
9 緊急逮捕
一定の重罪を犯した疑いが濃厚で、しかも緊急を要するため犯人を逮捕し、直ちに裁判官に逮捕状を請求する手続きです。一定の重大犯罪とは、死刑または無期、もしくは長期三年以上の懲役・禁固に当たる罪であることが必要で、疑いが濃厚とは犯人であることを疑うに足りる十分な理由があることが必要です。急速を要するため、裁判官に逮捕状を請求する時間的余裕がないことも要求されます。逮捕状を請求し得なかった緊急性の具体的情況、その場で逮捕しないと被疑者が逃亡し、その後の身柄確保が困難になる、証拠を隠滅されるおそれが予測されたなどの事情が必要です。緊急逮捕後は、直ちに裁判官の逮捕状を求めることが必要ですが、他の事務に優先してできるだけ速かにという意味と考えられています。緊急逮捕も弁護士として特に適法性をチェックします。











